大学院生向けキャリア支援

修士・博士課程の皆さんが、専門知識や研究成果を社会で最大限に活かせるよう、
キャリア支援課では大学院生特有の就職活動・研究キャリアに関する各種サポートを提供しています。

大学院生向けキャリア支援

専門性を活かしたキャリア構築を、強力にバックアップします。

2025年度 大学院修了生の進路

研究科名 課程 対象者数 農業,林業 製造業 情報通信業 運輸業,郵便業 卸売業,小売業 金融業,保険業 学術研究,専門・技術サービス業 教育,学習支援業 公務(他に分類されないもの) 分類不能の産業 その他(進学・研究生等) 合計
獣医学専攻研究科 修士 5 0 0 0 0 0 0 1 0 3 0 1 5
獣医学専攻研究科 博士 8 0 1 0 0 1 1 3 1 0 1 0 8
酪農学研究科 修士 17 1 2 1 1 0 0 3 1 5 0 3 17
酪農学研究科 博士 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1
合計 - 31 1 3 1 1 1 1 7 2 9 1 4 31

メンター制度(大学院博士課程対象)

大学院博士課程の学生(メンティ)一人ひとりが抱えるキャリアパスに関する不安や悩みに対し、大学として適切に相談できる体制を構築し、担当教員(メンター)がキャリアパスに関する支援を行うことを目的としています。 キャリアパスに関して不安や悩みなどがありましたら、担当教員(メンター)へご相談ください。

支援内容
  1. キャリア相談
    (進路選択・業界理解)
  2. スキル育成
    (論文執筆、プレゼン、資金獲得など)
  3. メンタルサポート
  4. 人間関係・ネットワーク形成支援
支援対象(メンティ)

大学院博士課程の学生

支援者(メンター)

主指導教員及び副指導教員

大学院博士課程修了生の活躍事例(ロールモデル)

千里 今日子

2025年3月 獣医学研究科博士課程修了

在学時の研究内容・選んだ理由

題名:北海道の乳牛群における潜在性ケトーシスの発生実態と早期予察ならびに予防に関する研究

乳牛は分娩前後に様々な疾病を発症しやすく、その基礎的病態の一つとして「ケトーシス」が知られています。特に、臨床症状を示さない潜在性ケトーシスは農場に大きな経済的損失をもたらす一方、北海道における発生実態や関連要因は十分に明らかにされていません。さらに、その前段階として分娩前の乾乳牛に着目し、低エネルギー状態にある牛の実態把握と早期予察・予防法の確立に関心を持ち、本テーマを選びました。

現在の勤務先と業務内容

勤務先:酪農学園大学

獣医学類ハードヘルス学ユニットにて講師を務めています。ハードヘルス学は国内の獣医系大学の中でも、本学のみに設置されている特徴的な分野です。農場で実際に起こっている問題を、個々の牛だけではなく牛群(herd:ハード)全体の健康状態や飼養環境など、多角的な視点から捉え、農場全体の生産性向上と疾病発生予防につなげることを目的としています。学生ともに農場を訪問し、飼養管理や疾病の発生状況などを調査・分析する教育および研究活動を行っています。

どのように研究内容を活かしているか

研究では、実際の農場でのサンプリング調査に加え、大学農場の試験牛を用いた詳細な実験を行いました。現場では実施が難しい肝臓組織中のmRNA量やルーメン内の揮発性脂肪酸濃度などを分析することで、代謝状態をより細部まで捉える経験を積みました。一方で、農場での調査を通じて牛群全体を見る視点も培いました。これらの経験を現在の業務に生かすとともに、乾乳後期の牛により焦点を当て、分娩後の疾病を未然に防ぐための具体的な予防対策に関する研究を進めています。

博士課程を目指している学生へのメッセージ

牛の臨床獣医師として日々の診療の中で疑問に感じていたことを、大学院生として様々な角度から捉え、じっくり考える時間を持つことができました。また、久しぶりに学生として授業を受け、様々な分野の先生方の講義を聞くことで、新たな視点や刺激を得ることができました。研究成果を論文としてまとめる過程は、自分の考えを整理し、それを他者に分かりやすく伝えるための訓練にもなったと感じています。博士課程では、日々の疑問に対して「なぜなのか」を深く掘り下げ、その答えを自ら明らかにできることが大きな強みだと思います。

弘川 拓

2025年3月 獣医学研究科 獣医学専攻 博士課程修了

在学時の研究内容・選んだ理由

大学院では、獣医麻酔領域における新しい酸素化モニタリング指標であるOxygen Reserve Index(ORi)について研究しました。低酸素血症を早期に察知することは、安全な麻酔管理において重要です。そこで、ORiを獣医臨床へ応用するための基礎的検討として、犬・猫・豚を対象に、ORiと動脈血酸素分圧との関係や、従来のSpO₂よりも早期に酸素化の低下を捉えられる可能性について検証しました。新しいモニタリング指標を臨床現場でより安全な麻酔管理に役立てたいと考えたことが、この研究に取り組んだ理由です。

現在の勤務先と業務内容

現在は、北海道帯広市のにれの木動物病院に勤務し、小動物臨床に従事しています。一般診療に加え、外科手術や麻酔管理を担当する機会が多く、特に周術期の安全な麻酔・全身管理に力を入れています。また、若手獣医師や動物看護師への教育、院内の診療体制の整備などにも携わっています。大学院で得た知識や研究経験を、地域の動物医療の現場に還元していくことを大切にしています。

どのように研究内容を活かしているか

博士課程で得た経験は、研究テーマであるORiにとどまらず、現在の診療全般に生かされています。研究を通じて、日々の臨床で生じる疑問を掘り下げ、科学的根拠に基づいて考える姿勢が身につきました。特に麻酔管理では、生理学的な背景を踏まえ、様々な情報を総合的に判断することを大切にしています。今後も、研究で得た知見を臨床へ還元するとともに、臨床から生まれる新たな疑問を研究につなげていきたいと考えています。

博士課程を目指している学生へのメッセージ

博士課程での研究は決して楽なことばかりではありませんが、一つの疑問を深く掘り下げ、検証する経験は、その後の臨床にも大きな財産になると思います。博士課程を修了し臨床へ戻る際、伊丹先生から「臨床は目の前の一頭を救い、研究はまだ見ぬ多くの症例を救うことにつながる。先生はその両方ができる獣医師になれる」という趣旨の言葉をいただきました。現在もこの言葉を大切にしています。博士課程修了後の道は、研究か臨床かのどちらか一方だけではありません。臨床を続けながら、そこで生まれた疑問を研究につなげ、その成果を再び臨床へ還元していくことも、一つの選択肢だと思います。私自身も、研究と臨床の両方を通じて獣医療に貢献できる獣医師でありたいと考えています。