インタビュー

弘川 拓

2025年3月 獣医学研究科 獣医学専攻 博士課程修了

在学時の研究内容・選んだ理由

大学院では、獣医麻酔領域における新しい酸素化モニタリング指標であるOxygen Reserve Index(ORi)について研究しました。低酸素血症を早期に察知することは、安全な麻酔管理において重要です。そこで、ORiを獣医臨床へ応用するための基礎的検討として、犬・猫・豚を対象に、ORiと動脈血酸素分圧との関係や、従来のSpO₂よりも早期に酸素化の低下を捉えられる可能性について検証しました。新しいモニタリング指標を臨床現場でより安全な麻酔管理に役立てたいと考えたことが、この研究に取り組んだ理由です。

現在の勤務先と業務内容

現在は、北海道帯広市のにれの木動物病院に勤務し、小動物臨床に従事しています。一般診療に加え、外科手術や麻酔管理を担当する機会が多く、特に周術期の安全な麻酔・全身管理に力を入れています。また、若手獣医師や動物看護師への教育、院内の診療体制の整備などにも携わっています。大学院で得た知識や研究経験を、地域の動物医療の現場に還元していくことを大切にしています。

どのように研究内容を活かしているか

博士課程で得た経験は、研究テーマであるORiにとどまらず、現在の診療全般に生かされています。研究を通じて、日々の臨床で生じる疑問を掘り下げ、科学的根拠に基づいて考える姿勢が身につきました。特に麻酔管理では、生理学的な背景を踏まえ、様々な情報を総合的に判断することを大切にしています。今後も、研究で得た知見を臨床へ還元するとともに、臨床から生まれる新たな疑問を研究につなげていきたいと考えています。

博士課程を目指している学生へのメッセージ

博士課程での研究は決して楽なことばかりではありませんが、一つの疑問を深く掘り下げ、検証する経験は、その後の臨床にも大きな財産になると思います。博士課程を修了し臨床へ戻る際、伊丹先生から「臨床は目の前の一頭を救い、研究はまだ見ぬ多くの症例を救うことにつながる。先生はその両方ができる獣医師になれる」という趣旨の言葉をいただきました。現在もこの言葉を大切にしています。博士課程修了後の道は、研究か臨床かのどちらか一方だけではありません。臨床を続けながら、そこで生まれた疑問を研究につなげ、その成果を再び臨床へ還元していくことも、一つの選択肢だと思います。私自身も、研究と臨床の両方を通じて獣医療に貢献できる獣医師でありたいと考えています。